イントレピッド 「評価 C」
本作のように、海を舞台にしたパニック映画は数多くある。しかし、その「海洋パニック」という大きなジャンルの中にもいくつかの種類があり、それらを大きく分けると、「沈没する豪華客船」「大津波」「海上の密室でのテロリストとの戦い」「鮫などの海洋生物との戦い」などに分けられるだろう。
古典的名作「ポセイドン・アドベンチャー」や「ジョーズ」はそれぞれのジャンルで独立した作品だし、最近では「ザ・グリード」などのように、いくつかのジャンルを混合して作った映画も見られるようになった。だが、実に数多くのジャンルを混合した「ザ・グリード」でさえも、上の4つのジャンルのうちの3つであり、やはり、全てのジャンルを混合するのには無理があるのかと思っていた。
ところがである。本作はそれら4種類全てのジャンルを混合した、言わば海洋パニックの究極型ともいえる映画だったのだ。
おとり捜査を得意とする2人組の刑事に与えられた次なる仕事。上司の娘が参加するクルージング・ツアーに同行し、テロリストの手から娘を守って欲しい、というものだ。そこで2人は「新しい豪華客船の中で一番豪華な」イントレピッド号の100回目の航海(100回も航海してちゃ新しくないだろ!)へと入り込んだ。
ツアーは大したトラブルも無く、このまま無事に終わるかに思われた。ところが船の前方で核爆発が起こったかと思えば、その衝撃によって生じた大津波が船に襲いかかってきた。なんと軍が秘密裏に海底核実験を行っていたらしく、その爆発地点の上をたまたま豪華客船が通ってしまったのだ! 波にのまれた豪華客船は一瞬で上下がひっくり返り、あっという間に海面から姿を消してしまった。
だが船内には空気が残っており、一部の乗客は辛うじて生き延びていたのである。2人組の刑事と上司の娘も生き延びていたが、3人は沈没の前にはぐれてしまっていたので、全く別々の場所にいた。そこで3人は他の生存者を探しながら、各々めいめいに船外への脱出口を探す羽目になってしまった。しかし沈没船の中にはテロリストのゴーストが紛れており、彼はこのドサクサに紛れて上司の娘を殺害しようと船内を駆け回っていたのである。おまけに船の厨房には凶悪な人食い鮫が紛れ込んでおり、刑事たちに襲い掛かる(窓が近くにあるわけでも無いのに、どうやってこんな場所に入ったんだ!?)。果たして彼らは無事に合流し、沈没船から脱出することができるのか…。
確かに4つのジャンルが1本の映画に収まっており、実に盛りだくさんの内容となっている。しかし本作、見方を変えれば「ポセイドン・アドベンチャー2」に鮫を登場させただけのようにも感じられる。海底核実験なんていう話は後半になるとすっかり忘れ去られるし、最後まで生き残った刑事は相棒が殺されてしまっても全然気にしていない感じだし、ストーリーも盛り込みすぎが祟ってかなり雑な印象を受けた。まさしく「詰め込みすぎた怪作」と言えよう。
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