ニンジャ(別題:ニンジャV 転生ノ章)       「評価 B」
本作はショー・コスギ主演のニンジャ映画なのだが、なんと忍者映画にオカルトホラーの要素を取り入れているという、珍奇極まりない内容だった。
冒頭、罪の無い人間を大量虐殺した忍者が警官隊によって蜂の巣にされる。それでも逃げ延びた忍者は、近くで電話線の工事を行っていたクリスティという女性にこう頼んだ。
「タスケテクレ、オネガイ、カタナヲアゲルカラ。スマネエ、コノカタナヲトッテクレ」
(期待を裏切らないカタコトの日本語で、早速観客のハートを掴んでくれる)
そこでクリスティが刀を手にとると、忍者は力尽きて死んでしまった。だがその時、クリスティの頭に忍者の記憶がフラッシュバックされたのだ。驚くべきことに死んだ忍者の魂がクリスティに乗り移ったのである。その後、クリスティは忍者を殺した警官を見つけては体を乗っ取られ、忍装束に姿を変えて一人ずつ始末していくという日々を送っていた。一方その頃、ジャパニーズマフィア(みんな袈裟を着て寺で修行している)の手引きにより眼帯の忍者ヤマダがアメリカへやってきた。実はクリスティの体に乗り移っている忍者はヤマダの父の仇で、ヤマダは復讐のためにクリスティと対決するのだが…。
現実以上に侍・忍者を神格化した作品は数多くあるが、この映画はそれらの中でもかなりの際物の部類に入る。忍者の魂が乗り移ったクリスティはニンジャアクションを自在に扱えるのは勿論のこと、ビリヤードの玉を粉々に握りつぶしたり、念力で人を宙に浮かせたり、挙句の果てに手からエネルギー弾まで放ち、受けた人間を意のままに操ってしまうのだ。(なのに冒頭の忍者はスニーカーを履いていたりと、ミスマッチ具合もまた良い)
おまけにクリスティの体から忍者の魂を追い出そうとするシーンではクリスティの顔がエクソシストさながらに白目を剥いた物に豹変し、忍者の魂がクリスティの体を支配するシーンではポルターガイストのように部屋の物が縦横無尽に動き回る。ちゃんと有名ホラー映画の要素を取り入れ、観客を楽しませる(笑わせる)のも忘れない。本作は娯楽という点において非常に優秀な映画なのである。
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