ニンジャ刑事・ダブルエッジ               「評価 B」
麻薬組織によって両親を殺された少年。彼は悪を破る力を得るために忍者に弟子入りし、厳しい特訓の果てに免許皆伝を言い渡された。その後成長した彼は、昼は刑事・夜は忍者のスーパーヒーローとなり、この世の悪を粉砕するために戦い続けていた!
「ニンジャ・ウォリアーズ」「ニンジャ・フォース」に続く、ケン・ワタナベ&ロマノ・クリストフによるニンジャ・トリロジーの最終作に当たる作品。さすがに最終作なだけあって、アメリカン忍者の魅力を十二分に味わえるものになっていた。前の二作でもロマノ・クリストフのトンデモ忍者ぶりが炸裂していたが、本作はそれらを遥かに凌駕すると言っても過言では無いだろう。何せ土の中を自在に移動したり、敵に捕らえられてヤク漬けにされても数日で全快したり、挙句に手の甲から連発式ミサイルまでぶっ放すのだ!
(「そんなの忍者かよ」と言う人もいると思うので付け加えておきますが、ちゃんと手裏剣やヌンチャクといった普通の忍具(!?)も使います。手裏剣がどう見ても厚紙にアルミホイルを貼った、小学生の工作レベルの代物なのは御愛嬌)
その上「者・闘・兵・臨・在・列・陣・皆・前!」という「ニンジャ・フォース」並みの珍台詞もやらかしてくれるし、更にこんな箇所まである。
主人公のマークは夜になると悪を滅ぼす忍者として活躍するのだが、悪を倒した後、現場に昔の銅銭(しかもサイズがやたらとでかい)を置いていく。なんでこんな事をするのか、と思っていたら、それを見つけた警察の人間がこう言うのだ。
「これは13世紀に活躍した伊賀忍者の印だ。悪党を倒したのは伊賀忍者と思っていいだろう」
そうか、伊賀忍者は銅銭を自らの印としていたのか……って、そんな話聞いたことが無いぞ!
(どうでもいいが、本作は前作と違って伊賀忍者が主人公になっている。前作で散々伊賀忍者を悪者に描いたので、バランス取りだろうか?)
このように、アメリカ製ニンジャ映画特有の勘違いぶりが非常に笑える本作。そしてストーリーの方も、忍者の描写に負けないぜと言わんばかりにツッコミどころに満ち溢れているから大変だ。
マークはある日、病気なのに薬も買えないでいる女性のことを知った。何とか彼女にお金を渡したいと考えた心優しいマークはその日の夜、大金を盗んできた窃盗団を捕まえた。そしてマークは彼らが盗んできた金の一部を横取りし、女性に分け与えたのである(自分の金をやれよ!)。
だがその翌日、その女性は麻薬の売人によって殺されてしまう。それに怒ったマークは麻薬組織と戦うことを誓い、友人や同僚を巻き込んでの一大抗争へと発展して行くのだが、なんと組織のボスは20年前にマークの両親を殺した男だった! それを知ったマークは矢文を使って、ボスを森の中へと誘き寄せる。対面する忍者姿のマークと組織のボス。ところが度重なる妨害に業を煮やしていたボスは、密かに部下のコマンドー部隊を連れてきていたのである。姿を現したコマンドー部隊に対し、忍者を殺せと命じるボス。しかしマークが予め森の至るところに仕掛けていた罠によって、彼らは瞬く間に全滅したのである(って、ボスはどうやって森に来たんだよ!)。
こうして親の仇であるボスを追い詰めたマーク。「3分だけ待っているから逃げろ。3分経ったら追いかけてやる」と余裕の台詞まで吐く。だが言われた通りにボスが逃げ出すと、マークは3分待たずにいきなり彼を追い始めるのだ(目標を倒すには手段を選ばない、まさしく忍者の鑑だね!)。
そんな彼から必死に逃げ回るボスだったが、やがて罠にかかって身動きが取れなくなる。
「俺を殺してくれ」とマークに哀願すると、マークは刀を置いてこう言った。
「ハラキリしろ」
(…………。まず、身動きのとれない相手に言う台詞じゃないだろ)
そしてボスの死を見届けずにその場を歩み去るマーク。本当にハラキリをしたのか、ボスの悲鳴が森に響き渡ったところでエンド・クレジットとなる。
いやあ、実に素晴らしいニンジャ映画である。前の二作にあった敵忍者との戦いが一切無いのが残念だが(つまりケン・ワタナベとロマノ・クリストフの真剣勝負が本作では見られない!)、ロマノ・クリストフ一人の活躍だけで十分お腹一杯の内容になっているので問題なし。まさしく三部作の締めとなるに相応しい作品と言えよう。
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