虹男                      「評価 C」
パートカラー映画。アメリカの「オズの魔法使」を始めとする、カラーフィルムとモノクロフィルムを使い分けて上映する作品の事を指す。この手法を用いた理由としては、オールカラーにするだけの予算や技術が無かったため、仕方なく部分カラーにした。もしくは、先ほどの「オズの魔法使」のように視覚効果を狙って敢えて部分カラーにした。の2種類に大きく分けられる。ところがこれが日本映画になると、パートカラーとして製作された映画の95%ぐらいが、低予算や技術不足と言ったマイナスな理由によるものなのが情けない。それでも当時の観客は「スゲー」と言って喜んだのだが、日本人はパートカラーの使い方が下手だった! 別にモノクロでも良さそうなシーンにもわざわざ当時高級だったカラーフィルムを使っていたりと、どうも金を持て余しているとしか思えないような作品が日本のパートカラー映画にはよく見られるのだ。
そして本作も、そういった「金を持て余していたとしか思えないパートカラー映画」の1つなんだが、この映画は現在、オリジナルフィルムの一部が欠落しているため、当時のオリジナルを全て見ることはできない。現在ビデオで見ることができるのは、紛失したオリジナルフィルムの一部を当時の製作者が再現したという、いわば「復元版 虹男」なのである。そのためこのビデオの解説部分には、「幻の幻想シーンが最新技術でいま甦る!」などと書いてあり、私は「CG技術の進歩によって、紛失したシーンの再現も可能になったのか!」と観る前は感心したものである。ところが・・・!
冒頭、いきなり主人公達の会話がところどころ途切れており、話の内容にいまいち入りこめない。現存しているフィルムが古いからと言っても、できれば音声が欠けている部分には字幕ぐらい入れて欲しかったところだ。話の内容は、上流階級の家を舞台にした連続殺人事件なのだが、トリックは奇想天外だし、サスペンス映画としては良作と呼べるだろう。
ところが、肝心のカラーシーンが最悪なのである。本作では「虹男が登場するシーン」にカラーフィルムが使われていたのだが、そこが紛失していたため現在の最新技術によって復元した…というのは先ほど話したが、そのカラーシーンが七色の線がパチンコ屋の看板みたいにピカピカ動くだけのものだったのだ! こんな物に折角のカラーフィルムを使っていたのか、当時の映画製作者たちは!? まさに金をドブに捨てているとしか思えない、何とも恐ろしい場面である。
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